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2019年 5月 10日14:25 提供:中国国際放送局
孤独な詩人
海子は、中国の詩の世界でも天才的な詩人の1人でした。彼が命を絶った理由については、今でも様々な説が入り交じっています。青春を燃やして詩を作り、多くの素晴らしい作品を作った一方で、自分を奈落の底に落としていったのでしょうか。そんな、命への想いや孤独への訴えを表す「日記」という詩があります。
この詩は、異郷にいる弟が姉に日記で思いを伝える、といった内容ですが、実はひとりぼっちの海子が、唯一それを分かってくれる恋人に気持ちをもらすものなのです。詩に出てくる「デレーハ」とは、チベット高原の小さな町で、海子の恋人の故郷だということです。
姉さん、僕は今夜デレーハにいるかすむ夜のとばり
姉さん、僕には砂漠しかない
草原の果てで両手に何もなく
悲しむこの時に一滴の涙もつかめない
姉さん、僕は今夜デレーハにいる
この雨の中の寂しい町よ
通り行く人や住む人のほか
デレーハ今夜
ここは唯一の、最後の気持ち
ここは唯一の、最後の草原
僕は石を石に返し
勝ちを勝ちにし
今夜、ハダカムギはそれだけのもの
すべては成長する
今夜、僕には美しい砂漠しかない
姉さん、僕は今夜誰にも興味も無いただ会いたい
海子が亡くなって30年が経ちましたが、詩を命と見なす彼の考えが多くの若者に影響を及ぼしています。1980年代の詩の世界のシンボルと言われた天才詩人の海子。その命が消えて、詩の黄金時代が終わったとも見られています。